写真協力:ホームランゆたか/LOOKS.TOKYO
みなさん、こんにちは。エロ文筆家の鈴木亨治です。私はライターとして、数多のAV現場を取材してきました。ただ、私の場合、一流のライターさんとは異なり取材時間が常軌を逸してました。というのも、監督と仲が良すぎたために、AD扱いされることもあって早朝5時集合の翌朝5時帰りという地獄のスケジュールをこなしたこともあります。
取材を始めた当初、私の脳裏に「女優さんは本当に感じているのか?」という疑問がよぎりました。女優さんに話を聞くと、十中八九「めっちゃ気持ちよかったー!」と答えます。
しかしながら、私の立場はあくまでライター。取材とわかっていて、「感じるわけないじゃん」と言うはずもありません。そんな記事が載ったりでもしたら、私たち男子の永遠の夢が壊れてしまいますからね…。
というわけで、今回は脳科学も踏まえながら、女性が感じる心理について探っていきます。
女性は共感の生き物
女優が本当に感じているかどうかを検証するためには、まず男女の違いについて理解することがポイントになります。
アメリカの心理学者マズローは、人間の欲求を5段階に分けて考えました。これを「マズローの5段階欲求」と呼びます。
最も土台となるのは、「生理的欲求(寝る・食べる・排泄など)」です。その上に「安全欲求(健康や平和でありたい)「親和欲求(みんなと仲良くしたいなど)」「承認欲求(他人から認められたいなど)」「自己実現欲求(夢や理想を実現したいなど)」の順に積み重なっているイメージです。
マズローによれば、男性は「認められたい」という承認欲求が強く、女性は「皆と同じでありたい」「共感されたい」という親和欲求が強いことが示されています。
また、脳科学の観点からも女性は人間関係やコミュニケーションを重視することが報告されています。カリフォルニア大学の神経精神医学者であるローアン・ブリゼンティーンが著した『女性脳の特性と行動』(パンローリング刊)によれば、女性は脳の「言語野」が男性よりも発達しており、言語能力が高いとされています。そのため、人間関係やコミュニケーションを重視する傾向が強いそうです。
この理論はセックスにも当てはまり、女性は直接的な刺激による快感よりも、環境や人間関係(好き・嫌い)によって感度が変わると考えられています。
女性を興奮させるのはホルモンのせい!?
男女の器質的な違いにホルモン分泌が挙げられます。
女性の子宮は「へその下の脳」とまで呼ばれる非常に敏感な器官で、ホルモンの生成に深く関与しています。不感症などといった症状の治療にはホルモン療法が効果的であることもわかってきており、ホルモンが欲求などの意思決定を左右しているかは研究者たちのテーマになっています。
女性の反応に深く関係しているのが、エストロゲンとプロゲステロンです。女性の脳の多くの部分は、このふたつのホルモンの影響下にあると言われています。たとえば、重要な記憶と学習を司る海馬、身体器官をコントロールする視
床下部、情動を左右する扁桃など、両ホルモンが増加することで過敏に反応するのです。
具体的にエストロゲンの分泌量は、月経終了から排卵日を迎える2週間ほどの期間に高まります。この時期、女性は自信に満ちあふれ、人とのコミュニケーションが円滑になります。そして排卵日直前になると性的衝動が非常に高まり、エッチにも積極的になるとされています。
一方、排卵を終えた直後の2週間(いわゆる生理の時期)はプロゲステロンの分泌量が増加し、イライラとして怒りっぽくなって高慢な態度になりがちです。「女心と秋の空」とはよく言ったものですが、ホルモンバランスの影響も大きいんですね。
女性は発情のハードルが高い!
さてさて、長々と講釈を垂れ流してしまいましたが、要するに言いたいのは女性は「学術的には単なるセックスだけでは感じにくい」ってことです。
これ、男性は違いますよね。男子たるもの、好みの女性が目の前で裸になったら、パートナーがいたとしても勃起してしまうのが自然の摂理です。もちろんそうではない理性的な男性もいるのかもしれませんが、少なくとも本コラムに興味を抱いている男性は、私と同じでエロが大好きだと思っています。
まあ、学術的にも男性は容易に性的興奮を得やすいとされています。ヒトの男性は365日24時間発情している地球上でも数少ない種族だといわれています。他の動物は発情期があって、それ以外の時期はまったくセックスに興味を抱きませんが、ヒトの男性はちょっとした刺激で、すぐに発情できます。実に便利でもあり、不便でもある生き物なんですね。
一方、これまでも述べてきたように、女性は男性に比べて発情のハードルが高く設定されています。
女性をイカセるには最低3倍の時間が必要
男性と違って、女性はセックスに対する反応も違います。アメリカの婦人科医・マスターズと心理学者・ジョンソンは、ボランティアを募って、個室でカップルにさまざまな性行為をしてもらい、それを細かく観察して男女の性的反応を調査しました。
それによると、興奮の度合いは「興奮期」「高原期」「オーガズム期」「消退期」に分かれるとされています。簡単にまとめると以下のようになります。
●興奮期…女性はクリトリス、男性はペニスが勃起する段階
●高原期…女性は子宮が上がり、小陰唇や膣が赤くなる。男性は精巣が上にあがる
●オーガズム期…女性は膣周辺の筋肉がリズミカルに収縮する。男性は射精に及ぶ
●消退期…女性は性器の充血・膨張が薄れる。男性はペニスが元に戻る。
この4つの段階を踏むうえで、男女の大きな違いは時間のかかり方。この実験では、女性は男性に比べて消退期に達するまでに3~10倍の時間がかかることが判明しました。
皆さんがオナニーをして10分で射精して賢者タイム(消退期)に入るとしましょう。女性はそれの最大10倍ですから1時間40分かかる計算になります。3倍でも30分です。
セックスして男性が先に果ててしまい、女性が満足を得られない…なんていうのは世の常ですよね。いやはや何とも悲しいものです。
実はコミュニケーションを取っている
学術的には、女性はけっこうイキづらい生き物だとわかりました。じゃあ、AV女優は本当に感じているのか否か。この深淵なる男子の妄想テーマをわずかながら解明していきましょう。
まず、女性はコミュニケーションを大切にするという点から検証します。
AVでは、女優と男優が初対面というケースも多々あります。普通であれば女優は興奮できない環境がそろっています。
みなさんもAVを観てお気づきかもしれませんが、デビュー作品などの場合、初カラミの女優さんに対して、男優は必要以上に声をかけています。「ここが感じるの?」「すごく濡れてきたよ」なんて言葉、もう死ぬほど聞いてるはずです。
これ、実はコミュニケーションの一部なんです。愛撫をしながら、男優は女優の反応を探っていて、ちょっとずつ女優との距離を縮めようとしてるんですね。
ちなみに、音声には残らない程度の小さな声で女優とコミュニケーションを取る男優もいます。男優が耳元を攻めているときに、女優がなぜかうなずいているシーンを見たことがありませんか?これは女優さんの反応を確かめるために対話しているからです。
こうして男優は愛撫中でも巧みに女優との距離感を縮めているのです。好きとはいかないまでも、「嫌いじゃない」レベルまで女優との関係を縮めることができれば、女優も感じやすくなるからです。
恐るべきAV男優の性感テクニック
だいたいAVを観ていると、愛撫からセックスに至るまでけっこうな時間がかかっていますよね。これも「最低3倍の時間が必要」という女性特有のハードルを越えるためのテクニックです。
もちろん作品によって、さまざまな趣向があるのですべてに当てはまるわけではありませんが、少なくとも女性が「オーガズム期」に入れるよう工夫を凝らしているわけです。
私は毎日AVを観ていますが、1対1の場合ですと、たいてい愛撫から射精に至るまで30~50分以内の映像が収録されています。編集されてこの時間ですので、実際にはもっと多くの時間を割いています。撮影現場では途中で監督がカットを出すこともあるので、たいてい1回のセックスに1時間以上はかかっています。そりゃあ男優も汗だくになるわけです。
一般的に普通のセックスで1時間はけっこう長いですよね。中には趣味嗜好を凝らしてもっと長くしているって人もいるかもしれませんが、一般的に男女のセックスは30分ぐらいです。そう考えると、AVでは最低でもその倍は時間をかけているわけです。
しかも、男優のテクニックは一般人のそれとは比になりません。女性をイカセるプロなわけですから当然っちゃ当然です。3倍とはいかないまでも倍ほどの時間があれば、ちゃんと感じさせることができると、私は踏んでいます。
というわけで、結論としては「女優は本当に感じている」ということになります。特に顔から鎖骨にかけて赤らむのは女性が興奮している証拠だそうです。
驚くべきはAVという業界の知識の賜物という点です。おそらくAV男優はこうした心理学や脳科学を勉強しているわけではありません。これまで男優業界で積み重ねられてきた独自の理論やテクニックが、学術的にも当てはまっているというのがスゴい!!
もちろん女優に個人差はありますが、8割以上の女優はガチでイキまくっていると私は思っています。というか、あれが演技だったら、もうそれはそれでいいんじゃないかとも思います。
今回も拝読いただき、誠にありがとうございました!