同人AVの歩き方 ~ステップ④:モデルのキャスティング~

写真協力:ホームランゆたか/LOOKS.TOKYO

皆様ご機嫌いかがでしょうか?XCREAM R18のクリちゃんでございます。今回は連載企画『同人AVの歩き方』の続き、作品のクオリティを決定づける「モデルのキャスティング」について語ってまいりたいと思います。

と…その前に……気になるのは先日施行された「AV新法(正式名称:AV出演被害防止・救済法)」ですよね。当ブログでも取り上げていますが(「AV新法 ━━ その内容とひろがる波紋」 をご覧ください)、モデル募集のやり取りの中心となっているツイッターを見る限りでは、撮影者、モデル共にこの新法を意識していない方が目立っている印象です。

「適正AV」に関わるメーカーやモデルプロダクションが新法施行のタイミングで契約内容や撮影・販売に至るまでの工程を見直し、刷新している中で、正直言うと同人AVのルーズな側面に悪い意味で注目が集まりつつあるのが事実です。もちろん新法施行に合わせてきちんと法律を遵守しようと動いている同人監督もいますが、悪い部分の方がどうしても目立って見えてしまうのが悲しいところですね。

とにかく同人AVといえど国から定められたルールは守らないといけないということで、その辺も踏まえながら「キャスティング」で気を付けたいところを挙げていきましょう。負けるな!同人AV!!ですww

SNSで自分の企画内容に合ったモデルさんを探してみよう

まず最初に考えるのはどういったタイプのモデルが自分の企画に適しているのか?以前「ステップ①:作品コンセプト&企画立案」で述べたように「どんな作品を撮りたいか?」を決めたら、その企画に出演してくれるモデルのことを想像してみましょう。

パイズリ作品なのに貧乳女子をキャスティングしてしまっては、まず望み通りの画が撮れません。M男イジメをやりたいのにドMの女の子が来ちゃったらM同士で何やろっかってなっちゃう。まずは自分の作品に出て欲しいモデルのイメージを固めるのです。どうです?脳内で具体的なイメージはできましたか?

そのイメージを頭の中で思い描きながら、例えばツイッターなどのSNSでお仕事を募集しているモデルさんのアカウントを何人も何人も徘徊し、自分の作品イメージに近い方を探します。モデル同士がつながってたりする場合もあるのでフォロワー欄をチェックしてみたり、オススメで出てきた似たタイプのアカウントをたどったり…ここは妥協できないところなのでじっくりやりましょう。しかし一番ワクワクする瞬間かもしれません。

あとお仕事を募集されてるモデルさんの中には、固定ツイートなどで条件を提示してくれている人もいるので、その内容はしっかりとチェックしておきましょう。モデルさんは固ツイに書かれていることを質問されることをものすごく嫌がるので。

モデルさんに嫌がられない出演依頼メッセージとは?

作品のイメージに近いモデルさんが見つかったら早速モデルさんに連絡してオファーを…ってまだ早い!連絡をする前に決めておくことがいくつかあるのです。同人AVの場合、ツイッターなどのSNSで撮影者とモデルがやり取りをして撮影が決まることが多いですが、この時モデルさんがものすごく嫌うことがあります。それは「撮影したいです」「いくらで撮れますか?」など、一言だけのメッセージです。

モデル活動している方々は日々何通、人によっては何十通とメッセージが来ています。そんな中で友達でもない初めてやり取りするような人と、だらだらと何度もやり取りするのは苦痛だったりするのです。最初のアプローチで欲しい情報が全て書かれていて、モデルさんは「やります」と言えばいいだけ、そんなメッセージ内容が好まれますし、返信率もアップします。

ではどういうメッセージを送ればいいのか?ざっと挙げるとこんな感じです。

・撮影日(ピンポイントでなく複数候補日を出してあげましょう)
・集合時間(あくまでこちらの希望。モデルに合わせて臨機応変に)
・撮影場所(こちらが希望する地域を複数挙げてあげると相手も選びやすいです)
・拘束時間(カメラを回す時間ではなく、合流してから解散までの時間)
・使用目的(販売目的の場合は具体的なサイト名も)
・企画内容(ひと言「ハメ撮り」とかだけでなく、カラミに至るまでのプロセスも)
・ギャラ(撮影当日支払いかどうかも大事なので伝えてあげましょう)
・成人であるかどうかの確認と、年齢確認書類の種類(パスポート、運転免許証など)

ちなみに年齢確認の書類は運転免許証かパスポートかマイナンバーカードが基本で、いずれも写真入りのものとなります。これはどうして必要かというと、未成年でないことを証明するために販売サイト側から提出が求められる場合があるから。というかFC2などは年齢確認書類が必須となり、提出しなければ作品の販売が許可されません。今後こういうケースが確実に増えていくので、身分証は必ず押さえておきましょう。これ以外、例えば写真がない保険証などだと、たとえ行政から発行された書類であったとしても認められないので注意してください。

スキのないやり取りを目指して…さらに確認しておきたいコト

これらの内容でモデルさんが「やります!」となったら、さらに細かな部分(下記)もお知らせして確認しておきましょう。

■メイクについて
こちらでメイクさんを雇って用意するのか、それともモデルさんの自前でお願いするのか、はっきりと決めておきましょう。例えば素人設定なら「自メイク(モデル自前のメイク)でお願いします」、ケバメイクのようにモデルさんが自分でできないような場合は「メイクはこちらの方で用意します」など、はっきり伝えておきましょう。

■衣装について
当日私服で来たモデルさんを撮ろうとして「撮らないでください」と拒否されるトラブルがたまにあります。これは私服から身バレすることを恐れているためで、これを防ぐためにも事前の確認が必要です。こちらで撮影用の衣装を準備する場合はその旨を伝えるとして、私服で来てもらう場合は必ず「撮られても(映っても)いい私服で来てください」と伝えておきましょう。「持ってる範囲でいいのでできるだけ短いスカートで」とか「ワンピースを持ってたら」といった感じの、常識的な範囲でのリクエストも大丈夫かと思います。

■当日モデルに持参してもらうもの
未成年でないことが証明できる身分証(運転免許証、パスポート、マイナンバーカード)は必須。持参してもらったら身分証自体の写真と、身分証を本人の顔の横に並べた状態での写真を撮って大切に保管しておきましょう。あとは出演承諾書に押印してもらう判子。こちらは忘れても拇印で代用してOKです。

■当日参加するスタッフについて
他にスタッフや男優が入るかどうかを気にするモデルさんもいるので、1対1以外の場合は当日に入るスタッフについてもお知らせしておいた方がいいでしょう。特に男優が複数いるような現場は最初の段階から丁寧な説明がないと後々トラブルに発展することがある他、ギャラにも変動が出てきたりします。デリケートな部分ほど丁寧に、慎重に。

AV新法の制約はプラスに考えてより良い作品作りの準備期間に

というわけで、モデルさんとのやり取りが終わったらいよいよ撮影!といきたいところですが…ここからが実は大切なところ、AV新法が出てまいります。まず新法では撮影前に必ず出演契約を結ばなければなりません。これは適正AVの世界では常識となっていましたが、新法以降はこれが法律で義務付けられる形となります。つまり同人AVであっても例外ではないのです。

さらに契約の締結から1か月間経過しないと撮影してはいけないと定められています。なので…例えば企画趣旨の説明や顔合わせなどの意味も込めた面接・面談という形で一度モデルさんと会い、諸々合意していただけたらその場で年齢確認と契約をし、1か月先の撮影日を待つ、といった流れになります。

1か月もあるというのは何もデメリットだけではなく、撮影者としては内容など様々なことを確認しあったり練りこんだりして、十分に準備ができる期間とも考えることができます。しっかりと準備をし、モデルさんに伝え忘れることもなく、万全の状態で最高の作品作りに臨みましょう!!