みなさん、業界がざわざわしている最中ですがエロを楽しんでますか?
本来、楽しむためのエンタメ業界!世の中はざわざわしつつも、私は今日も本質を見失わないように日々背筋を正して業務に励んでいます。
ところで、私がこの業界に入って「興味深い」と思うことは数あれど、とくに「AVと本能」の関わりについては調べれば調べるほど謎が増えてまるで宇宙のような広さを私に感じさせてくれます。
例えば、どの業界にも存在する季節商品。
夏になればスッキリとした味わいのビールがリリースされ、冬になれば滑らかな味わいのチョコレートが店頭に並びます。衣類や家電のように物理的に変化する必要があるものでなくても人間の“気分的に”365日のなかで次々と売れ線が移ろいでいくこの現象。
アダルト業界もその原理は当てはまることをあなたは知っていますか?
人間が意識せずとも本能的に選択してしまう行動の中で、アダルトの売れ線と世情の関わり合いが非常に深いのではないかと感じ、今回ご紹介することにしました。
今回は、アダルトの売れ筋と世情について深掘りしてみたいと思います。
日本独自の流行 四季とアダルト
入社当初、広報の先輩が「〇〇出版には9月向けに熟女シリーズを持参します、やっぱり秋なので」と言っていたことがありそのことがずっと気になっていました。
またある時は、社内のリリース会議で「夏なのでナンパの大容量タイトルの準備をします」と耳にしてこれもまた不思議に感じていたものです。季節の変わり目の社内は、まるで催事コーナーの企画を練っているようだなぁとその都度、ワクワクしきりでした。
少しだけ業界のことが分かるようになってきたころ、前述の“秋には熟女”、夏にはナンパ”が定番的に売れることを知りました。しかもこちらが特別なプロモーションを打ち出さなくても、です。
このほかにも、ワールドカップのようなスポーツの国際大会が行われる年は外国人作品がヒットする傾向があるのです。これは無自覚に外国人美女を目にすることが増え、なんとなく海外作品を手にしていることが考えられます。普段、マス広告を出しにくい私たちからすればそこらじゅうで昼夜問わず宣伝活動をしてくれているようなものなので非常に有難い影響です。人の意識に「外国人」というキーワードがインプットされているということが分かります。
日本の特色でもある四季によって、人は性嗜好についても作用されているのです。日本のアダルトは世界トップレベルだと聞きます。私は日本の四季も関わることで性産業の独自成長があったのではないかと考えているのです。
春
春に売れるものは、フレッシュな新人。
新しい居住地に新しい生活、誰しもがどこか意気込んでいるこの季節は、元気を貰えるような新人さんラッシュでもあります。というのも女性が地方から上京して様々なしがらみから解放されることもあり、デビュー数自体も若干増えるのです。
そしてロリだったり美少女作品のリリースが伸びる時期でもあります。
エネルギーに満ちている時期だからこそ、自分がリード出来るような相手を選びがちなのかもしれません。
夏
夏はナンパ!!
ストリートナンパ文化はマッチングアプリの浸透で下火になってきたものの、AV文化においてはやはり夏にナンパのヒット作が生まれます。
どんな悪戯もひと夏の経験と許されてしまいそうなこの時期。汗で光る肌を露出した美女たちに必死で声をかけまくる・・・!まさに夏!!といった様相。
女性のタイプに関しては断然ギャルが伸びます。
夏のテンションにほだされて、明るく楽しく乗ってきてくれるようなそんな快活なイメージのあるギャル。みんな夏のムードに身も心も支配される。なんて素晴らしい季節!
秋
夏の乱痴気ムードが一変して急にノスタルジックな気持ちになる秋。まだまだ遊び足りない心をおいてけぼりに、季節はどんどん寂しい冬に向かっていきます。
太陽が活躍する時間が短くなり月を眺める時間が長くなる。とはいえ日中はまだまだ暑く、身も心も焦がされる。その熱を引きずったまま日が落ちると妙にいやらしい気持ちになるものです。
そんなとき、秘密を抱えた人妻がそばにいたら・・・ふたりで過ちを犯してしまうかもしれません。
不都合な事情もお互い様・・・日中の熱を冷ますように長くなった夜の間中(あいだじゅう)、身体を重ね合う。
・・・・・やっぱり秋は人妻AV一択!
冬
冬はゲレンデやクリスマスにちなんだ作品がヒットするように思われがちですが、実はそれよりも目立って売れる作品があります。それが「大容量作品」。
年間の中で長期休暇を最も取りやすい人が多いことから、収録分数が30時間を超えるような超長尺作品に人気が集まります。朝から晩までAV漬けを味わえるこの時期に最もオススメなジャンルです。
また、普段はAVを見ないような”ライトユーザー“もこの時ばかりは休暇中の余った時間をAVにあててくれるようで、捻った作風のAVよりも、分かりやすい女優物が売れる傾向も感じられます。
レジェンド女優のベスト盤作品はこの時期が最も売れるのではないでしょうか。
社会情勢までも作用するエロカルチャー
前述の通りたった365日間でも次々と移ろいでいくエロ指向。もっと大きなくくりでいうと時代背景をも反映しているようです。
私の知る限りでは世の中がハイテンションでいる時代(好景気)には、男性側が責めるような作品が売れていたように感じます。ちょっと高嶺の花風の、綺麗でかっこいいお姉さんを責めたり責められたりするようなアグレッシブな作品のリリースが目立っていました。
これが女性の社会進出と男性の草食化が相まって、AV作品も綺麗なお姉さんや年下の可愛い女の子にリードされるような女性主導の作品に人気が集中するように変化してきました。
女性に誘われて言われるがままに衣服を脱がされ、ちょっとした悪戯をするかのように弄ばれた後、女性上位の体位でイカされてしまう。こんな作品がいまでは定番の売れ筋になっています。“スパイダー騎乗位“が流行したのもこの一因があったからではないでしょうか。
最近ではこの特色に加え、とにかく明るい要素ばかりを詰め込んだ作品が人気です。現実世界の先の見えない不安や満たされない感情をAVを見る時くらいは逃避したいという気持ちの表れであると私は推測しています。
レイプや不倫などの暗い要素が一切入っていない、明るく楽しいセックス。自分に自信が持てなくても相手に後押しされることで言い訳も出来るうえに気持ちいい思いも出来る。そんな夢をAVに抱いているのではないでしょうか。
これからのアダルト人気作はどうなっていくのか
ではこれからの令和時代、アダルトビデオはどんな作品の人気が高まっていくのでしょうか。
これは私の想像でしかないし、これが分かれば全くもって苦労しないのですが、恐らく「長尺作品」「いちゃラブ系」の人気は続くのではないかと思っています。
その理由としてコロナ禍によってリモート作業が増えたことや収入が減った人が多いことから、お得感を得られる”長尺作品”の人気がこれからも続くと考えられます。同様に”複数人数の収録された総集編”のような作品にも人気が集中するのではないでしょうか。
また、多人数での集いがはばかられる昨今、現実世界とリンクするような”密室でふたりきりの空間を大事にするいちゃラブ系作品”に親近感が沸く人が増えるのではないでしょうか。
恋人がいる人やデートをしたことがある人が激減していることから、”疑似恋愛を味わえる作品”が今後の売れ筋になると私は予想しています。
その他には女性がもっと強くなり、”男性を気ままに弄ぶような作品”が増えてくることも考えられます。女性がこれまで以上にパワーを持つことで、性に対する財布の紐もどんどん緩くなると考えています。女性だってストレスは溜まるし、忙しいなかでパパっと性欲処理できる方法が今後は今以上に広がっていくのではないでしょうか。
日本のアダルトは日本人によって支えられてきました。
四季を楽しみわびさびを感じる感性が気付かぬうちにエロにも作用しているのです。真面目な国民性は真面目にエロを考え進歩させてきました。
今後のエロを考えることで、日本の未来も考えることになるんじゃないかなぁと真面目に結論付けておきます(笑)