現役女性スタッフによる「ストリップ」の世界への誘い

XCREAM動画配信ブログをご覧のみなさま、こんにちは! アダルト業界のスキマを軽やかに駆け抜ける謎(?)のオンナ・やまだです♪ 蒸し暑い日が続きますがいかがお過ごしですか?

3回目のテーマはこちら!!

劇場の現役「投光」スタッフが伝える、ストリップの色々な魅力」

最近、Twitterのトレンドにも度々登場する”ストリップ”。実は私、ストリップ劇場で「投光」というポジションでスタッフをやっていたりもします。(投光:照明や音楽の機材操作、アナウンス、ステージ進行などを行なうスタッフ)

働き始めたのは8年前、バイブがぶわーーーーーっと並ぶ某バー(分かる人には分かっちゃう?)で働き始めてから1ヶ月後、たまたまTwitterで求人を見つけて興味を持ち応募した次第です。

ちなみにそれまでストリップは見たこともなく、ライブイベント等でバーレスクダンサーさんを見たことがあるくらいでした。面接しに行った後に「少しステージ見ていきな」、と言ってくださったので1ステージだけ見させていただきました。あの時の光景はまだしっかり覚えてます。

その後無事働くことになり、新宿の某劇場で3年半ほど働きました。一度辞めたのですが、ひょんなきっかけから都内の別の劇場で働くことになり今に至ります!

というわけで今回はストリップを知らないまま働き始めた頃の気持ちと、ストリップのあれこれを間近で見てきた視点から、「ストリップの色々な魅力」についてご紹介します。

色々な、と書いているのは、楽しみ方はいっぱいあって、どれもきっと正解なのです。エロチックなショーを見たい人もいれば、ばっきばきに踊るダンスが見たい人もいます。肉体美に魅せられて合間にデッサンしている美学生さんもいれば、涙を流して見ている人もいます。

1つの演目、1つのショーを取っても、見た人の数だけ解釈があるので、みなさんの好きな楽しみ方(ただし踊り子さんや劇場・他のお客様の迷惑にならないように)が見つかりますようにという思いを込めつつ…まずは基本的な理解を深めるためのポイントを大きく3つに絞ってみました!

🎀ストリップ劇場ってどういうところ?

🎀どんな人が踊ってるの?どんなステージなの?

🎀裏方から見たストリップ

🎀ストリップ劇場ってどういうところ?

ストリップを既にご存知の方には朝飯前かもしれませんが、あまり知らない人のためにまずはストリップ劇場についてご紹介します。現存営業している劇場は17箇所(2023年7月現在 / 蕨ミニ劇場の復活が決定しました!やったね☆)。

「浅草ロック座」という言葉はストリップを知らない人でも、もしかしたら聞いたことがあるかもしれません。現存する劇場で一番大きな劇場が「浅草ロック座」です。そして浅草ロック座のような大きな劇場に対して小規模な「ポラ館」と呼ばれる劇場があります。まずはこれらの違いからご説明していきましょう。

ストリップ劇場は通常10日毎にメンバーが変わるのですが、浅草ロック座は20日が基本(10日ごとに区切ることを、頭・中・結と言います)です。浅草ロック座はバックダンサーの方がいたり、その期間に共演している踊り子さんと一緒に立つことも多々ありますが、ポラ館では踊り子さんが1人でステージに立ちます。

ポラ館は1人ステージが終わったらアトラクションの時間があり、その後別の踊り子さんが出てきますが、浅草ロック座の場合はこのアトラクションの時間はありません。(諸々考慮してアトラクション、と記載します)

また、ポラ館は1人1人それぞれの演目を出しますが、浅草ロック座は1つのテーマに沿って演目を作っている為、全員のステージで1つの作品となっていることが多いです。他にも色々と違う部分はありますが、大きな違いは以上です。

初めて行く方は浅草ロック座から行く方が多い印象ですが、都内は池袋・上野・新宿・渋谷と、繁華街にポラ館もあり、どこも行きやすいと思います。お好みの劇場が見つかるとグッと楽しくなりますよ。

料金は男性が平均5,000円、女性が平均3,500円程です。ストリップ劇場は入れ替え制では無いため1日中楽しめるのもいいところですね(外出可能な劇場も多いです)。そして都内の劇場は1日3~5回の公演があり、5~7人のダンスショーが見られます。劇場によっては「何曜日は何とかデー!」など、楽しい企画がある所もあるので是非調べてみてください。

あとストリップ劇場に行くことに不安を感じる方も多いと思いますが、お客様もみなさん優しい方が多いので安心してください。最近は女性のお客様も増えてきていて、働き始めた頃は10日の内に1人いるかな…くらいでした。しかしここ数年で1日に何人もいらっしゃる事が増えてきました!ただ万が一、痴漢行為や迷惑行為がある際はすぐに従業員までお知らせください。スタッフは皆さん頼りになります!

余談ですが、平日の1回目などは比較的お客様も少ない時間帯で、ご年配の方がかぶり席(盆ステージの周りのことを指します)にいらして、ずーーーーーーーーーーっと頭が踊り子さんが動く方向にベルトコンベアされている光景が見られてほっこりします。

それとストリップ劇場は、今ある劇場がなくなってしまうと再建はできない、と言われています。いわば文化遺産のようなもので、現在では関東以外は劇場がかなり少なくなっているのが現状です。なのでもし好きな踊り子さんと出会って、一度他の劇場でも見たいなと思ったら、是非旅行がてらの遠征などもしてみてください。各劇場、いろんな歴史があっていろんな色があって、また訪れたくなること必至です。劇場の近くにあるおいしいお店などを紹介してる踊り子さんやお客さんもいるので探してみてくださいね。

🎀どんな人が踊ってるの?どんなステージなの?

ストリップの踊り子さんはいろんな方がいらっしゃいます。劇場に所属している踊り子さんが多いですが、所属なしのフリーでやられている踊り子さんもいらっしゃいます。

また、AVに出演されている踊り子さんも多くいらっしゃいます。もしかしたらあなたがお好きな女優さんがストリッパーとしても活躍されているかも知れないので、是非チェックしてみてください。映像の中とはまた違った魅力に触れることができますよ。

以前はスカウト等が多かったようですが、最近はお客さんから踊り子さんとしてデビューされる方もいらっしゃるのも面白いところ。各劇場、踊り子さん募集をしているので、この記事を読んでいる女性の方で興味を持たれたら是非一度連絡してみるのもいいかもしれませんね。

そして当然のことですが、踊り子さんの数だけステージがあります。舞台は、 まず基本となる「本舞台」 があり、そこから細長く伸びた「花道」と、その延長上に「盆」と呼ばれる丸い回転舞台があってできています。ストリップの基本的な構成は、本舞台で1~2曲踊った後に、盆に入って「ベッド」と呼ばれるショーがあり、最後「立ち上がり」と言いまたステージへ戻っていくのです。大体ベッドに入る前後に衣服を脱ぐことが多いです。

ストリップは女性がだんだんと衣服を脱いでいくという定石があるのですが、そこに至るまでの経緯は多種多様です。日本舞踊の古典的な演目もあれば、みなさんが知っている最新の話題を取り入れていることもあり、私は劇場で世の中の流行りを知ることが多いです。また、登場人物2人を1人で踊り演じる時もあれば、通して1人で最初の立ち位置から動かずパフォーマンスする場合もあります。1日ストリップを見ていたら多い時だと20程の演目を見ることができるので、きっとあなたが心惹かれる演目に出会えるはず!

そして更に面白いのが、ストリップは踊り子さんから踊り子さんへ、演目を渡す(継承する)ことがあります。なんだか今までの雰囲気と違うなとか、この踊り方はあの踊り子さんと似ているなあと思って見ていると、実はいただいた演目だった、ということも!同じ演目であっても、踊り手が変わる事によってまた別の表現になる…この楽しみは落語にも通じるなと思っています。

実際に劇場に行かれた方はわかると思うのですが、盆ステージの周りの「かぶり」と呼ばれる席は踊り子さんとの距離がものすごく近いです。香水の香りが漂い、踊り子さんの視線があなたの視線を絡め取る、無言の時間なのに受け取る情報量はとてつもないはず。時には刺激的な目つきで、そして時には慈しむような眼差しで、「目が合う」…言葉にすればそれだけなのですが、きっと今までに体験したことのない濃厚なひと時です。

🎀裏方から見たストリップ

私は働くまで、ストリップの世界をまったく知らないままでした。先輩に照明のやり方を教えてもらい、いよいよ一人で全部できるようになってから少しして、その時は訪れました。

踊り子さんが盆ステージで綺麗なポーズを決めたその時、客席前方の上手・下手から同時に何かクラッカーのようにふわーっとしたものが打ちあがり、びっくり。すぐさま後ろのドアを開けて先輩を呼び、「あれなんですかありなんですか?」と聞いた記憶があります。

ストリップは踊り子さんがポーズをした時に、「リボン」を投げるファンの方がいます。もちろん踊り子さんに許可を得て投げているのですが、その時私はまったく知らなかったので本当に驚きました。綺麗に投げる方が多くて見ていて楽しいのです。

と、ストリップが好きな人なら知っているようなこともまったく知らなかったので最初は驚きの連続でした。毎日出勤するのが楽しくて、でも毎週自分にとっての初日(その演目を初めて見る日)は緊張して指が震えていたのを覚えています。

投光の仕事は、アナウンスをし、曲をかけ、照明をする、盆ステージの操作をする、緞帳の操作をする、と言葉にするとめっちゃくちゃシンプルです。ただ、1つの演目の16分前後の中で、踊り子さんがどういう風に見せたいのかをひたすら延々と考え、指示書と呼ばれるものにイメージが書いてある場合はそのイメージを作れるように努力します。

そういった情報がない時は、ひたすら「表情」「衣装」「足元」「指先」を見て考えるしかできません。何度やっても正解がなんなのかはわからないのですが、踊り子さんから「今の凄く素敵でした」と言っていただけるととてつもなく嬉しくなります。と同時に、失敗すると本当にへこみます。この仕事をやっていて良かったな、と思えるのは毎回踊り子さんの表現を見てそこに合わせたい、と思って取り組めるところにある気がしています。

スタッフでいると、普段お客様は見られない踊り子さんも見ることができます。前のりして舞台の立ち位置を確認したり、ゲネ(ゲネプロの略。全て本番と同じ条件で行なわれる「最終通し稽古」のこと)をやったりする踊り子さんの姿や、出番前までポラのコメントを丁寧に書いている姿。

未だに覚えているのは、その方の前の踊り子さんが身体を痛めている中での圧巻のステージをした後、次の踊り子さんからインターが来て「今のステージすごすぎる。次出番なのに号泣」といった内容。私も涙。また、舞台中は何も違和感なかったのにポラになってすごく辛そうに出て来た方がいて、ぎっくりで即病院行って戻ってその後またステージに立っていた踊り子さんもいらっしゃいました。

そんなステージに対しての姿勢や、お客さんに対しての姿勢、そして「劇場」「ストリップ」への愛を勉強させてもらいながら日々働いています。愛といえば「今日はこのお客さんが地方からくるから演目の順番変えるね」、とか、お客さんに対しての愛も溢れている場所だと思っています。

ストリップというと暗くてアヤシイ雰囲気だと先入観を抱く方がいるかもしれませんが、いらっしゃるお客さんは優しい方が多くて(たまに本当に稀にそうでない方もいますがそういう時は従業員が全力で対応します)、踊り子さんとの信頼関係も強い特殊な関係だな…と、一度来ると感じていただけると思います。その時出演している踊り子さん達を応援する、その時ノッている劇場を応援する …応援の仕方が色々あるところも魅力です。

最後に━━「ストリップ」という文化の行く末

今後、ストリップ劇場が新しくできることはほぼないです。そして、いつの間にか劇場に乗らなくなってしまう踊り子さんもいます。昨今、ツイッター等でストリップがトレンドに入ったり、著名な方が紹介してくださったり、テレビで取り上げられていたりしますが、当たり前にずっと続くとは言いづらい業界ではあると思っています。

なのでもし機会があったら、是非劇場に足を運んでみてください。応援の仕方はそれぞれなので、あなたが好きな踊り子さん、演目、劇場、に出会えるように心から願ってます!

最後に。2022年、火災によって営業ができなくなってしまった蕨ミニ劇場の再建を目指すクラファンがあります。微力ながら、ストリップに関わる一スタッフとして紹介させてください。

https://motion-gallery.net/projects/warabimini

それではまた次回のコラムでお会いしましょう!